Coaching Potential

女性が働くということ

NHKの朝の連続テレビ小説「虎に翼」をツラツラと見ています。日本初の女性の裁判官である実在の女性をモデルにしたドラマですが、主人公が司法試験に受かったのが戦前ですから、そもそも女性が働くということが稀有な時代です。彼女の物語は、女性が働く道を切り拓いた歴史そのものですし、このドラマもその部分をハイライトしたいのでしょう。

私が大学を出て働き始めた頃は、このドラマの主人公の時代よりははるかに女性が働きやすくなった時代です。ただ働く女性の数は増えましたが「男女平等」ということが大きく叫ばれていました。と、いうことは平等ではなかったということですね。

確かに私が就職活動をしていたときは氷河期で、日本の大手企業は男性しか採用しない会社も多く、今では考えられないことですが、そのように性別で採用するかしないかということを企業が明言している時代でもありました。そして就職すれば、女性は補助的な役割に就くことが多く、25歳を過ぎるとなんとなく結婚して辞めることを期待されることが当たり前。

本格的に自分のキャリアを考えている女性は「キャリアウーマン」と呼ばれ、男性と肩を並べてバリバリと働く強い女性のイメージを持たれたし、女性サイドも働くということはそういう事だという気概とプレッシャーの両方を感じていた時代でした。私も経済的に自立するということが精神的に自立することには欠かせないと思っていたのと、仕事という場で何か自己実現したいと頑張っていました。

けれども、そのように働く=強いこと、ということに疲れて、もっと自然体で働くことができないのかと思い始めたのが、今思えばその後のキャリアへの転換点だったのかもしれません。そして女性が男性社会の中で強くあらねば!と思うということは、男性も仕事場では強く振る舞わなくてはいけない、と思っているのではないかとも思い始めました。そしてそれは男性にとっても窮屈なことなのではないかとも思いました。

そして女性であろうが男性であろうが、仕事だからといって強い自分の仮面をかぶるのではなく、人それぞれ自分の良いところを活かしながら本来の力を発揮することが組織の成果につながる、ということを追求したいという想いが私のコーチングの根底にあるテーマです。

最近は男女ともに働くということに対する考え方が多様化してきました。昔だって働きたくない男性は沢山いたでしょう。組織の中で出世することに興味のない男性も沢山いたでしょう。でもそういうことを口に出してはいけない雰囲気だったのが、今は管理職になってプライベートの時間もないような働き方はしたくない、という声の方が男女共に大きいるくらいかもしれません。

子供ができても働く女性は本当に増えて、育休や産休など制度的にもずいぶん完備されてきました。それでもワンオペに近い形で仕事も家庭も見なくてはいけない女性も本当に多いし、核家族化してきた現代では昔よりも1人で色々と抱えている女性は増えてますよね。

昔ほどではないにしても、組織の上に行けば行くほど、会議に出ると自分がただ1人の女性というシチュエーションもまだまだ多く、そこで「自分らしく振る舞う」ということがどういうことなのかなかなか回答が得られないでいる女性リーダーのお話もよく聞きます。

ここ数年、多くの企業が女性のリーダー層を増やすことに取り組んでいて、私も女性リーダー育成を目的とした研修やコーチングをする機会が増えてきました。そもそも「女性リーダー」と「女性」がつくことが不自然なのですが、自然にはなかなか前進していかないテーマだとも思います。

そんな中、女性初のアメリカ大統領が、日本の首相が誕生するでしょうか。そうなったら何か変わるでしょうか。

「女性が働くこと」というタイトルにしましたが、投稿を書くにつれ、それは男女共に働きやすい環境にしていくことなのだと改めて感じました。