Coaching Potential

ビジョンを描く

コーチングセッションを通してクライアントさんのビジョンを描くお手伝いをする事があります。組織やチームのビジョンを考えることはあっても意外に自分個人のビジョンを考える機会はないと思うので、「あなたのビジョンは何ですか?」と聞かれてスラスラと答えられる人は多くいません。

そもそもビジョンって何でしょうか?言葉の定義を見てみると、自分が「こうなりたいという未来の姿や展望」と説明されます。目標と似ているようでいて違うのは、目標はもっと具体的に達成したい事柄や状況を表しているのに対し、ビジョンはその定義にもあるように目指す方向性というように目標よりも少し幅広く、何をしたらビジョンが達成できるかどうかということには幾つか選択肢が含まれます。

例えば「将来〜のビジネスを始め年商〜円を目指す」というのが目標だとすると、ビジョンは「将来〜を通して社会に貢献している」という感じでしょうか。

それでは何故そんなビジョンを建てる事が大事なのでしょうか。以前私がコーチングの学びを深めようとして参加したクラスで、自分はクライアントさんにどうビジョンの大切さを説明するかというディスカッションがありました。そこで下記のような意見が出てきました。

  • ビジョンは先に進む希望を与えてくれる
  • ABかという選択肢がある時にビジョンがどちらを選ぶのか指針になる
  • 料理を作る時に何を作ろうかというイメー時がないと買い物ができない。ビジョンは一歩踏み出す時の先のイメージを与えてくれる

私は実はあまり将来のゴールをきっちりと決めてそれに向かって計画を建てて進んでいくタイプではありません。むしろ偶然の出会いや出来事から思ってもいない方向に自分の人生が転んでいくのを楽しむタイプです。

ではそんな人にビジョンが必要ないのかというと、ただ行き当たりばったりに歩いていくよりも、何となくこっちの方向に行きたいという大きな指針があって一歩を踏み出すのでは、実は後者の方が偶然の出会いが起きやすい気がするのです。と、いうよりは何となく大きな方向性に向かって進んでいる時の偶然の出会いは、自分にとってはもはや偶然ではなく必然なのかもしれません。

コーチングセッションでどうやってビジョンを構築していくかというと、これはもうその時によって様々です。

これから先のことを考えるわけですが、実は大きなヒントは過去にあったりもするので、今までの人生を振り返ってみるのがビジョン作成の第一歩だったりします。今までの人生で印象的だったことや、転換点などを振り返ってみると、そこには自分にとって大事な価値観、今後のビジョンに関するヒントがあったりします。

そうやって今までの自分、そして現在の自分をじっくり見てみる事で、では将来どうしていきたいのかというイメージが湧いてくるのです。何となく湧いてきたら、コーチングセッションではそれを言語化してみます。結構どういう言葉を選ぶかという微妙なニュアンスの違いが、ビジョンのイメージを分けたりします。

これがビジョンを“描く”という言葉で表されている理由かもしれません。

ちなみに私が数年前に描いたビジョンは「私は周囲の人がその可能性を120%開花することをサポートする地中海の風」でした。前半の部分はコーチという私の今の仕事と合致していますね。でもコーチという仕事以外でもこれは達成できると思うのです。そして後半の「地中海の風」ですが、私は自分と関わる人に地中海の風の様に暖かく気持ち良い存在でありたいという思いが込められています。

そして最近描いたビジョンでは「私は幾つになっても自分がどうなるかわからないという可能性を楽しむミラーボール」でした。だいぶアバウトになってきて、このビジョンだとやること無限大です(笑)

こんな風に自分の人生の時々で描くビジョンは変わっていって良いのです。そのビジョンを描くプロセスがむしろ楽しいし意味があるのです。