Coaching Potential

マインドフルネスの世界

コーチングをしていると、目の前のクライアントさんや参加者の方に意識を集中して向き合うことがとても大切になってきます。クライアントさんは今どういう状態でいるのか、どのような気持ちで言葉を発しているのか、ということにアンテナを向けていないと、クライアントさんの言葉を表面的にしか理解できなかったり、言葉にならないけれどクライアントさんの内面で起きていることに気づいたりということができなくなります。

目の前の相手に集中するということは言うのは簡単ですが、実行するのはそんなに簡単なことではないぞ、と思っていた時にマインドフルネスに出会いました。マインドフルネスという言葉は「今、ここにいる」ことだと聞いたことはあり、なんとなくのイメージは持っていましたが何なのかわかっていませんでした。

そして3年前、Search Inside Yourself(サーチ インサイド ユアセルフ)というプログラムに参加してみました。このプログラムはGoogle社がマインドフルネスやEQなどの考えを融合して作られたプログラムで、元はGoogleのエンジニアだったチャディ・メン・タン氏が書いた同名の本が元になって作られたプログラムです。

 

このプログラムではマインドフルネスは「気づいていること」(“being aware”)と定義され、心や体や周囲の状況にその瞬間に起きていることに好奇心と優しさを持って注意を向けることと説明されています。逆にマインドフルではない状態というのは、注意が過去や未来に飛んでいったり注意散漫になってしまう状態で、そうなると人は実際に起きていることに注意を向けるのではなく、今までの習慣や思い込みで動いてしまうことになるそうです。

先ほど、コーチングでは目の前のクライアントさんに注意を向けることが大事だと書きましたが、そのためにはきっと相手はこういう状態なのだろう〜と自分の思い込みで判断するのではなく、今目の前に起きていること(クライアントさんの言葉、表情、息遣いなどなど)にマインドフルに気づくことが大事なのですね。そして、相手や周囲の状態に気づくためには、まず自分の感情や体に何が起きているのかということに気づくことができることが第一歩の様です。

たまに自分はなかなか人の気持ちがわからないとか共感力が弱いという方がいらっしゃいますが、そういう方は自分の気持ちや感情にもあまり目を向けない傾向があるかもしれません。

Search Inside Yourself(サーチ インサイド ユアセルフ)のプログラムでは様々な方法で、マインドフルに、「今、ここにいられる力」をつける方法を学びます。その中に瞑想もあるのですが、瞑想について書き出すとブログ何回分にもなりそうなのでその話は又いずれ。

瞑想以外ではマインドフル リスニングと言って、相手の方の話をマインドフルに全身全霊で聞くという練習をします。これはまさに先ほどから書いている目の前の相手に集中して聞く練習ですね。聞くことが大事なことがわかっていても、相手の話を聞きながらつい自分の経験を思い出したり、どういう言葉をかけようかということに思いを巡らしながら、相手に集中せずに自分に集中して聞いてしまうものだという自分の状態に気づかされます。

面白い練習ではマインドフル イーティングというのもあります。その時に口に入れた食べ物に意識を集中して食べるのです。なので話もせずに食べます。家族や友人と一緒に食事をしていると話をせずに食べるということはなかなか難しいですが、それでも最初の5分でも食べることだけに集中すると野菜の甘さや食感の違いなど、普段では気に留めなかったことに気づくなかなか思い白い体験です。

このマインドフルネスの世界は深くて、3年前に出会ってから様々な形で関わってきています。今後もマインドフルネスの考えが、コーチングのみならず、いろいろな面で私の人生を深めていってくれる気がしています。